2026.08.20

コラム

ドローン飛行禁止区域 2026|7月14日の拡大で何が変わる?秋の農薬散布・空撮で必要な申請実務ガイド

ドローン飛行禁止区域 2026

2026年7月14日から、ドローンの飛行禁止エリアが拡大されました。秋は水稲の収穫、秋冬野菜の防除、収穫期の空撮、鳥獣害対策など、圃場でドローンを飛ばす機会が一年で最も多くなる時期です。「去年と同じ場所だから大丈夫」と考えて飛ばした結果、実は規制区域に含まれていた——という事態を避けるため、この秋こそ飛行計画の作り方を見直しておきましょう。本記事では、農業・産業用途でドローンを使う方向けに、飛行禁止区域と特定飛行の違い、許可・承認の要否、飛行計画通報や飛行日誌といった手続きの流れを整理します。

2026年7月14日から飛行禁止エリアが拡大。まずは「最新の区域」を確認する習慣を

2026年7月14日より、ドローンの飛行禁止エリアが拡大されました。これまで問題なく飛ばせていた場所であっても、対象区域に含まれるようになっている可能性があります。重要なのは、「以前は飛べた」という記憶で判断しないことです。

飛行計画を立てる際は、その都度、国土交通省や関係省庁が公表している最新の飛行禁止区域情報、および飛行申請システム(DIPS)上のマップで確認してください。区域の詳細や運用は今後も更新される可能性があるため、当社としても最新情報を確認したうえでお客様にご案内しています。ご自身の圃場や作業予定地が該当するか不安な場合は、お問い合わせフォームまたは公式LINEからお気軽にご相談ください。

混同されがち:「飛行禁止区域」と「特定飛行」は別の話

農家の方からよくいただく質問が「うちの田んぼは禁止区域じゃないから、申請はいらないですよね?」というものです。実はここが最大の落とし穴で、空域が問題なくても、飛ばし方によっては許可・承認が必要になります。整理しましょう。

① 空域による規制

航空法では、空港等の周辺、地表または水面から150m以上の高さ、人口集中地区(DID)の上空、緊急用務空域などが規制対象の空域とされています。これらで飛ばす場合は原則として国土交通大臣の許可が必要です。加えて、小型無人機等飛行禁止法により、国の重要施設や原子力事業所、防衛関係施設などの周辺は別枠で飛行が禁止されています。2026年7月14日からの拡大は、こうした「飛ばしてはいけない場所」の範囲に関わるものです。

② 飛ばし方(飛行方法)による規制

夜間飛行、目視外飛行、人や物件から30m未満の距離での飛行、催し場所の上空、危険物の輸送、そして物件投下——これらは「特定飛行」に該当し、承認が必要です。農薬・肥料の散布は物件投下にあたるため、圃場が禁止区域外であっても手続きが必要になります。ここを知らずに散布している方が今でも一定数いらっしゃいます。

③ 条例・土地所有者・その他のルール

航空法以外にも、自治体の条例で公園や河川敷での飛行が制限されている場合があります。また、離着陸には土地所有者・管理者の同意が必要です。道路上空を横断する飛行、私有地上空でのプライバシー配慮なども実務上の重要ポイントです。

農業・産業シーン別|許可・承認が必要になる代表例

飛行のしかた 秋の代表的なシーン 手続きの考え方
物件投下 秋冬野菜の農薬散布、水稲収穫後の緑肥・肥料の粒剤散布 承認が必要。圃場が規制区域外でも対象
危険物の輸送 農薬を搭載した状態での飛行 承認が必要。散布は物件投下とセットで扱う
人・物件から30m未満 住宅や電線、農機具小屋が近接した圃場での散布 承認が必要になるケースが多い
夜間飛行 日没が早まる秋の夕方作業、鳥獣害の夜間確認 承認が必要。日没時刻の把握が必須
目視外飛行 大区画・傾斜地での自動航行、山間部の物資輸送 承認が必要。技能や機体要件も関係
人口集中地区(DID)上空 市街地に隣接した圃場、屋根点検・太陽光設備の撮影 許可が必要。区域境界の確認を厳密に

※上表は一般的な整理です。実際の要否は機体・場所・飛行方法の組み合わせで変わります。判断に迷う場合は必ず事前にご相談ください。

飛行前後に必要な手続きの流れ

許可・承認だけで終わりではありません。特定飛行を行う場合、一般的に次のステップが必要になります。

1. 機体登録とリモートID

100g以上の機体は登録が必要で、登録記号の表示とリモートID機能への対応が求められます。中古機を譲り受けた場合は名義変更の手続き漏れが起きやすいので注意してください。ドローン販売・整備の窓口では、購入時に登録まわりのご案内も行っています。

2. 飛行許可・承認の申請

飛行の内容に応じて、DIPSから申請します。同じ内容で継続的に飛ばす場合は包括申請という選択肢もあります。ただし、包括申請で認められる範囲を超えた飛行(申請していない方法や、対象外の場所)は当然カバーされません。「包括を取ってあるから何をしてもよい」という誤解は事故につながります。

3. 飛行計画の通報

特定飛行を行う際は、飛行前に飛行計画の通報が求められます。当日の急な散布依頼にも対応できるよう、作業日程は余裕をもって組み立てましょう。

4. 飛行日誌の記録

特定飛行では、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録を備えることが原則として求められます。散布シーズン中は記録が後回しになりがちですが、これは万一の事故時にご自身を守る資料にもなります。

5. 事故・重大インシデントの報告

人の負傷、第三者の物件の損壊、機体の制御不能・落下などが発生した場合は、国土交通省への報告が必要です。あわせて保険会社への連絡も忘れずに行いましょう。

秋ならではの注意点|日没・稲刈り・鳥獣害

日没が早い=意図せぬ「夜間飛行」に

9月から11月にかけて、日没時刻は毎週のように早まります。夏場の感覚で夕方の散布を続けていると、気づけば日没後になっていた、というケースが起こります。夜間飛行は承認事項ですので、作業日ごとの日没時刻を確認し、終了時刻に余裕を持たせてください。

収穫期の空撮・記録撮影

黄金色の圃場をドローンで撮影して営農記録やPRに使う方が増えています。撮影自体は有用ですが、住宅や道路、第三者が近い場所ではDID区域や30m未満飛行の論点が出てきます。撮影に人が写り込む場合のプライバシー配慮も必要です。オペレーション代行では、空撮や点検の飛行許可申請を含めた対応が可能です。

鳥獣害対策での活用は「できること・できないこと」を整理して

収穫期はイノシシやシカ、鳥類の被害が集中します。ドローンによる上空からの被害状況把握や、獣道・侵入経路の確認は有効です。一方で、夜間の赤外線飛行や山林越しの目視外飛行は承認事項であり、機体要件や操縦技能も問われます。「飛ばせば追い払える」と単純化せず、実施可能な範囲を事前に切り分けることが大切です。

散布は風速3m/s以下・農薬ラベルの遵守が前提

秋は移動性高気圧の周期で風の強い日が増えます。飛助シリーズの最大使用風速は8m/sですが、農薬散布は農林水産省の規定により風速3m/s以下で実施します。使用する薬剤は必ず作物・対象病害虫に登録のあるものをラベルどおりに使用し、地域の防除指針やJAの防除暦を確認してください。周辺作物へのドリフト防止、住宅や養蜂場、水産動植物への配慮も欠かせません。

申請が難しいと感じたら、代行という選択肢

飛行申請は仕組みを理解すれば自分でも行えますが、圃場が複数の市町村にまたがる、規制区域の境界にかかる、目視外や夜間を組み合わせたい——といったケースでは判断が難しくなります。ドローンキングでは飛行申請代行とドローン保険のご案内を行っており、散布代行をご依頼いただく場合は飛行許可申請費用を含めた料金の目安(農薬散布:約10,000円/回〜、4,000㎡まで。以降1,000㎡ごとに+2,000円)でご案内しています。金額はあくまで目安であり、圃場条件・面積・アクセス・作業時期によって変動します。正確なお見積りは公式LINEからご相談ください。

また、自分で正しく飛ばせる知識を体系的に身につけたい方には、国家資格の取得が近道です。ドローンスクールでは法規・空域・申請の考え方を実技とセットで学べます。受講料の目安(税込)は二等 初学者385,000円/経験者125,000円、一等 初学者725,000円/経験者425,000円です。いずれも目安であり、開催時期や条件により変わる場合があります。詳細はコース紹介をご覧ください。農閑期に入る11月以降は受講しやすい季節です。

飛行許可の「前提」になる機体整備も秋のうちに

意外と見落とされがちですが、機体の年次点検(年1回)は、国土交通省への飛行許可・承認申請やメーカー保証の前提条件として重要な位置づけにあります。点検・整備を怠った機体で申請しても、安全管理体制の面で説明がつきません。現行機の点検費用は8万円程度(税別・目安)で、機種や部品交換の有無により変動します。

散布シーズンが落ち着く秋から冬は、整備の予約が取りやすい時期です。バッテリーは耐用の目安が約2年・200サイクルで、膨らみが見られたものは使用を中止し整備事業所へご相談ください。マゼックス製の機体は1年目無料のドローン保険(対人対物1億円)が付帯します(購入後にメーカーへの申請が必要)。機体のラインナップは製品一覧から、お近くの対応拠点は拠点情報からご確認いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自分の田んぼの上を飛ばすだけでも申請は必要ですか?

A. 空域として問題がなくても、農薬や肥料を散布する場合は物件投下・危険物輸送に該当するため、承認が必要です。所有地かどうかと、航空法上の手続きが必要かどうかは別の話とお考えください。

Q2. 2026年7月14日の飛行禁止エリア拡大で、農業用ドローンは飛ばせなくなりますか?

A. 一律に農業利用ができなくなるという内容ではありません。ただし対象エリアが広がっているため、これまで飛ばしていた場所が該当する可能性はあります。飛行計画のたびに最新の区域情報を確認し、不明点は事前にご相談ください。

Q3. 包括申請を取得していれば、どこでも飛ばせますか?

A. いいえ。包括申請は、申請した飛行の方法・条件の範囲内でのみ有効です。夜間や目視外を申請していなければその飛行はできませんし、小型無人機等飛行禁止法の対象施設周辺など、別法令で禁止されている場所はカバーされません。

Q4. 国家資格(技能証明)を持っていれば申請は不要になりますか?

A. 技能証明と機体認証の組み合わせによって手続きが簡略化される飛行類型はありますが、すべての申請が不要になるわけではありません。特に農薬散布のような物件投下・危険物輸送を伴う飛行は、資格の有無にかかわらず内容に応じた手続きが必要です。

Q5. 申請違反にはどのような リスクがありますか?

A. 航空法違反には罰則が定められています。加えて、無許可飛行中の事故は保険の支払い対象外となる可能性があり、地域からの信頼を失うという実務上の損失も大きくなります。手続きは「面倒な義務」ではなく、営農を継続するためのリスク管理とお考えください。

まとめ

  • 2026年7月14日からドローンの飛行禁止エリアが拡大。過去の記憶で判断せず、飛行計画のたびに最新区域を確認する
  • 「飛ばせる場所か」と「飛ばし方に承認が要るか」は別問題。農薬・肥料の散布は物件投下に該当し手続きが必要
  • 秋は日没が早く、意図せず夜間飛行になりやすい。作業終了時刻に余裕を持たせる
  • 機体登録・リモートID・飛行計画通報・飛行日誌まで含めて一連の手続きと考える
  • 散布は風速3m/s以下、登録のある薬剤をラベルどおりに。防除指針・防除暦の確認を
  • 散布代行は約10,000円/回〜(4,000㎡まで、申請費用込み)の目安。条件により変動するため個別見積りを
  • 年次点検(点検費8万円程度・税別・目安)は飛行許可・保険・メーカー保証の前提。予約が取りやすい秋冬に

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