2026.11.02

コラム

ドローン 新規就農の始め方2027|就農1年目の機体選び・国家資格・散布代行を冬のうちに整えるガイド

ドローン 新規就農の始め方2027

2026年11月。稲刈りと秋起こしが一段落し、来春の就農に向けて動き出す時期になりました。新規就農でドローン導入を検討する際にまず迷うのが「最初からドローンを入れるべきか」という点です。作付けが始まってから慌てて機体を探すと、研修も資格も申請も間に合わず、1年目の防除をすべて手散布でこなすことになりがちです。この記事では、就農1年目にドローンをどう取り入れるか、買う・借りる・頼むの判断軸と、農閑期のうちに済ませておきたい準備を、費用の目安つきで整理します。

この記事の要点

  • 新規就農でドローンを使うなら、受講枠も整備枠も取りやすい農閑期のうちに機体選定・資格・申請の準備を進めるのが現実的です。
  • 就農1年目は購入・レンタル・散布代行の3択で判断し、代行なら4,000㎡まで約10,000円/回〜(目安)で申請費用も含まれます。
  • 農薬散布には航空局の承認が必要ですが最長1年の包括申請でまとめられ、飛行計画の通報と飛行日誌、年1回の更新は残ります。

なぜ新規就農の「ドローン準備」は冬に進めるのか

理由は単純で、春以降はすべてが同時に動くからです。育苗、耕起、代かき、初期除草剤——その合間に機体選定・研修・飛行承認の手続きを挟むのは現実的ではありません。一方で11月〜2月は、スクールの受講枠も、整備事業所の点検枠も、販売店のデモ・商談の時間も取りやすい時期です。

また、ドローンでの農薬散布は「機体を買えばすぐ飛ばせる」ものではありません。後述する国土交通省(航空局)の承認手続きや、メーカー指定の機体研修など、就農前に時間を使って片づけられる項目が意外と多いのです。逆算すると、春に実際の散布を始めたい人は、年内〜年明けの動き出しがちょうど良いスケジュールになります。

就農1年目の選択肢|買う・借りる・頼むの3択

最初から購入が正解とは限りません。就農1年目は作付け計画も圃場の形も変わりやすく、資金も限られます。まずは3つの入り口を比べてみてください。

入り方向いている人注意点
購入する作付面積がまとまっている/複数回の防除と追肥・播種まで使う予定がある/数年単位で規模拡大を見込む本体以外にバッテリー追加・年次点検・保険などの維持費がかかる。機体研修と飛行承認の準備時間も必要
レンタルする自分の圃場で使い勝手を確かめたい/シーズン中の一部期間だけ使いたい繁忙期は希望日が重なりやすい。操縦者が自分になるため、研修・技量・申請の準備は購入時と同様に必要
散布代行を頼む1年目は作業に集中したい/面積が小さい/適期がはっきりしていて回数が少ない適期が地域で重なるため早めの予約が前提。散布日の天候待ちも想定しておく

就農1年目は「代行で防除を回しながら、2年目以降の購入を検討する」という進め方も十分に合理的です。オペレーション代行の農薬散布は、4,000㎡までで約10,000円/回〜(目安)、4,000㎡を超える分は10a(1,000㎡)あたり1,800円(目安)で、飛行許可申請の費用も含まれています。実際の金額は圃場の形状・障害物・移動距離などの条件で変わるため、あくまで目安としてお考えください。

なお、代行を依頼する場合は飛ぶのが当社になるので、お客様側で航空局への申請を行う必要はありません。自分の機体で散布する場合の申請については、次章で分けて説明します。

農薬散布には「承認」が必要|包括申請で1年分まとめられる

ここは新規就農の方がいちばん誤解しやすいところです。ドローンによる農薬散布は、航空法上の「危険物の輸送」と「物件投下」に当たるため、国土交通省(航空局)の承認が必要です。国家資格(技能証明)や機体認証を持っていても、この承認が省略されることはありません。

ただし、散布のたびに申請するわけではありません。同じ申請者が繰り返し飛ばす場合は、最長1年間の「包括申請」で期間と場所をまとめて承認を受けられ、期間中は散布の日付や圃場ごとの個別申請は不要になります。つまり、自分で散布する農家にとって、手続きが導入の大きな障害になることは多くありません。

包括申請でも、次の手続きは残ります。飛行ごとの飛行計画の通報と飛行日誌の記載(DIPS2.0)、1年ごとの更新申請、機体や操縦者を追加したときの変更申請です。また、空港周辺や人口集中地区の上空など、場所によっては別途の許可が必要になる場合があります。申請は飛行開始予定日の10開庁日前までに行う必要があるため、春の防除から逆算して冬のうちに着手するのが安全です。

ドローンキングでは、提携の行政書士事務所を通じて包括申請の手続きをサポートしています。費用の目安は1万円(目安)です。これは自分の機体で散布する方向けのサポートで、前章の散布代行(約10,000円/回〜・申請費用込み)とは別のサービスです。両方を同時に契約する必要はありません。

機体選びは「面積」と「圃場の形」から

新規就農の方が最初に迷うのが機種です。国産農業機のマゼックス社製なら、現在の主力は飛助15と飛助10の2シリーズです。価格はいずれも税別・目安で、飛助15がアドバンス1,200,000円/プロ(粒剤散布装置付)1,450,000円、飛助10がアドバンス998,000円/プロ1,248,000円となっています。時期や仕様で変わるため、最新の価格・納期は個別にご確認ください。

選び方の目安は、まとまった水田が中心で1日の散布面積を稼ぎたいなら飛助15、中山間地や変形田・小区画が多いなら取り回しのよい飛助10、という考え方です。粒剤の追肥や播種まで見据えるならプロ(粒剤散布装置付)が候補になります。なお、飛助DXシリーズと飛助miniは新規販売を終了しており、後継としては飛助10をご案内しています(既存機のアフターサポートは継続しています)。詳細は製品一覧をご覧ください。

実機の性能も把握しておきましょう。飛助シリーズは1バッテリーで最大25分、薬剤搭載時は平均17分の飛行が可能で、1haの散布に液剤8L程度が目安です。1日散布するならバッテリーは最低6本、余裕を見るなら8本必要になります。最大使用風速は8m/sですが、農薬散布は農林水産省の規定により風速3m/s以下で実施します。この「風待ち」の時間も、就農1年目の作業計画に織り込んでおくと慌てません。

冬のうちに進める4つの準備

① 国家資格を取るか決める

ドローンの操縦自体に免許は原則不要ですが、農薬散布や目視外飛行などの特殊な飛行では申請や技能の証明が必要になる場面があります。農閑期は受講枠を確保しやすい時期です。国家資格スクールの受講料の目安(税込・本部のみ開催)は次のとおりです。

コース受講料の目安(税込)主な対象
二等 初学者385,000円これから操縦を始める方
二等 経験者125,000円民間資格・飛行経験のある方
一等 初学者725,000円レベル4飛行まで見据える方
一等 経験者425,000円経験者で上位資格を目指す方

修了審査に合格すると、指定試験機関の実地試験が免除されます。また、人材開発支援助成金の対象となる講習もありますが、条件は事業所の状況によって異なるため、個別に公式LINEでご確認ください。

② 機体研修とアフター体制を押さえる

産業機を初めて購入する場合、メーカー指定の機体研修の受講が必須です。研修日程と納品のタイミングを合わせておかないと、機体が手元にあるのに飛ばせない期間が生まれます。あわせて、整備をどこに預けるかも先に決めておきましょう。機体の年次点検(年1回)は飛行許可・承認申請やメーカー保証の前提条件となる重要な整備で、現行機の点検費の目安は8万円程度(税別・目安)です。全国の拠点で提供サービスが異なるため、最寄りで整備まで受けられるかを確認しておくと安心です。

③ 保険を確認する

マゼックス製の機体には、1年目無料のドローン保険(対人対物1億円)が付帯します。ただし購入後にメーカーへの申請手続きが必要なので、納品時に忘れず済ませてください。2年目以降の更新は自分で判断することになります。

④ 防除計画と薬剤の確認

作付けが決まったら、防除計画も冬のうちに下書きしておきます。ドローン散布では、無人航空機での使用に登録のある薬剤を、ラベルの記載どおりに使うのが大原則です。地域の防除指針やJAの防除暦も必ず確認してください。野菜を作付けする方は秋冬野菜の防除ガイドも参考になります。

就農1年目のモデルスケジュール

時期やること
11〜12月作付計画の確定、購入/レンタル/代行の方針決め、デモ飛行・実機確認、スクールの受講枠確保
1〜2月国家資格の受講、機体の発注・機体登録/リモートID、保険申請の段取り
2〜3月メーカー指定の機体研修、包括申請の手続き(飛行開始予定日の10開庁日前までに申請)、バッテリーと備品の準備
4〜5月圃場での慣熟飛行、飛行計画の通報と飛行日誌の運用開始、初期除草剤など最初の作業
6〜9月本格的な防除シーズン。風速3m/s以下の条件を守り、散布記録を蓄積
10〜12月洗浄・越冬保管、年次点検の予約、1年目の実績をもとに2年目の機材計画を見直し

よくある質問

Q1. 新規就農でもドローンの補助金は使えますか?

補助金・交付金は年度ごとに制度や要件が変わり、就農形態や地域によって使える枠も異なります。金額や採択の可否をここで断定することはできませんので、具体的な条件は公式LINEでご相談ください。過去の補助金関連の解説はコラム一覧にまとめています。

Q2. 国家資格がないと農薬散布はできませんか?

ドローンの操縦自体に免許は原則不要で、資格がないと散布が一切できないわけではありません。ただし農薬散布には航空局の承認が必要です。申請にあたっては操縦者の飛行経歴や技能に関する確認が求められる場合がありますので、詳細は最新の国土交通省の案内をご確認ください。国家資格を持っていても承認が免除されるわけではない一方、技能面の裏付けとして国家資格を取得する方法もあります。ご自身のケースでどう進めるのが早いかは、個別にご案内します。

Q3. 冬に機体を買って、春まで置いておいても大丈夫ですか?

機体本体よりも注意が必要なのはバッテリーです。耐用は約2年・200サイクルが目安で、保管状態によって劣化が進みます。膨らんだバッテリーは使用せず、整備事業所へご相談ください。保管方法は洗浄と越冬保管のガイドで詳しく解説しています。

Q4. 1年目から中古機を買うのはアリですか?

初期費用を抑える選択肢にはなりますが、点検整備の記録、保証の有無、部品供給が続く機種かどうかの確認が欠かせません。判断材料は中古市場の完全ガイドにまとめています。在庫や価格は時期によって変わるため、具体的な相談は公式LINEへどうぞ。

Q5. 面積が小さくても購入する意味はありますか?

防除回数、追肥や播種での活用、作業時期を自分で決められる価値など、面積以外の要素でも判断が変わります。まずは代行やレンタルで実際の作業時間を測り、2年目に購入を検討する流れでも遅くありません。

まとめ

  • 新規就農でドローンを使うなら、準備は農閑期のうちに。春以降は作業が重なり、研修・資格・申請の時間が取りにくくなります。
  • 1年目の入り方は「購入・レンタル・散布代行」の3択。代行は4,000㎡までで約10,000円/回〜(目安)、超過分は10aあたり1,800円(目安)で申請費用込みです。
  • 農薬散布には航空局の承認が必要ですが、最長1年間の包括申請でまとめて取得できます。飛行計画の通報・飛行日誌の記載・年1回の更新は残ります。
  • 機体はマゼックス飛助15/飛助10が主力(税別・目安で998,000円〜1,450,000円)。初購入時はメーカー指定の機体研修が必須です。
  • 国家資格は二等 初学者385,000円・経験者125,000円(税込・目安)などから選択。年次点検は飛行許可・保険・保証の前提となる重要な整備です。

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