2026.10.19

コラム

ドローン 緑肥播種ガイド2026|レンゲ・ヘアリーベッチの秋播きと粒剤散布装置の設定・来季の土づくり

ドローン 緑肥播種ガイド2026

稲刈りが終わり、圃場に稲わらが残るこの時期。「秋起こしまで少し時間があるうちに、来季の土づくりを一手打っておきたい」という方に検討していただきたいのが緑肥(カバークロップ)の秋播きです。レンゲやヘアリーベッチは、土づくり・減肥・雑草抑制に効く一方で、播種のタイミングが短く、トラクタや動力散布機での作業は手間がかかります。そこで広がっているのが、粒剤散布装置を付けた農業ドローンで種子を空中散布する方法です。この記事では、2026年秋〜冬の作業に合わせて、緑肥の選び方・ドローン播種の手順・設定のコツ・法令上の注意点・作業後の整備までを、現場目線でまとめます。

なぜ今、緑肥の播種にドローンなのか

秋播き緑肥は「稲刈り直後〜気温が下がりきる前」というごく限られた期間に播く必要があります。ところがこの時期は、乾燥調製・出荷・秋耕・畦畔管理が重なり、人手も機械も足りません。ドローン播種には次のような利点があります。

  • 適期を逃しにくい:機械の入れ替えや圃場の乾きを待たずに、空から短時間で播ける
  • 軟弱地・湿田でも作業できる:わだちを作らず、収穫直後のぬかるんだ圃場にも対応しやすい
  • 分散した小区画に強い:中山間地の飛び地圃場を移動しながら順に播ける
  • 散布記録が残る:飛行ログと作業記録を来季の施肥設計に活かせる

一方で、ドローン播種は表層播き(覆土なし)が基本です。発芽は土壌水分と地表の状態に左右されるため、「播けば必ず立つ」ものではありません。稲わらが厚く残っている、地表が乾き切っている、強風が続くといった条件では発芽ムラが出ます。後述の事前準備が成否を分けます。

秋播き緑肥の主な種類とドローン適性

品種・播種量・播種適期は地域の気象や後作によって変わります。必ず都道府県の指導機関(農業改良普及センター)やJAの指導、種苗メーカーの推奨を確認したうえで決めてください。以下は選定時の整理用の一覧です。

緑肥の種類 主な狙い 播種の時期感 ドローン播種の適性
レンゲ(ゲンゲ) 窒素固定による減肥・景観形成 秋(地域により9月下旬〜10月中旬が目安) 小粒で流動性があり扱いやすい。表層の水分確保が鍵
ヘアリーベッチ 窒素供給・雑草抑制(被覆力が強い) 秋(レンゲよりやや遅くまで対応しやすい) 種子がやや大きく重い。吐出量の試し撒きが必須
イタリアンライグラス 有機物補給・飼料利用 秋播き(暖地では幅が広い) 軽く細長い種子で風の影響を受けやすい
からしな類・エンバク 土壌物理性の改善・残渣すき込み 作型により秋〜初冬 粒径が安定していて散布しやすい傾向

なお、緑肥の作付けは環境負荷低減の取り組みとして位置づけられる場合があり、交付金等の要件確認が必要になることがあります。制度面は年度で変わるため、最新の要件は市町村・JA・普及センターでご確認ください。

粒剤散布装置の設定と「試し撒き」の重要性

ドローンで種子を播く場合は、液剤タンクではなく粒剤散布装置(グラニュール散布機)を使用します。マゼックスの農業機では、飛助15プロ・飛助10プロが粒剤散布装置付きの仕様です(定価の目安:飛助15プロ 1,450,000円/飛助10プロ 1,248,000円、いずれも税別・目安。時期や仕様により変動します)。機体の詳細は製品一覧をご覧ください。

設定でつまずきやすい3点

  • 吐出量は資材ごとに違う:粒径・比重・コーティングの有無で同じ設定でも落ち方が変わります。肥料の設定値をそのまま種子に流用しないでください。
  • 必ず試し撒きで実測する:圃場外の安全な場所でシートを敷き、一定時間・一定速度で散布して重量を量り、10aあたりの散布量を逆算します。これを省くと播きすぎ・播き足らずが即、来季のコストに跳ね返ります。
  • 軽い種子は風に流される:農薬散布は農林水産省の規定で風速3m/s以下での実施が基本ですが、種子散布でも風の弱い時間帯(早朝など)を選ぶのが鉄則です。機体の最大使用風速は8m/sですが、「飛べる風」と「均一に播ける風」は別物と考えてください。

飛行時間の目安は、1バッテリーあたり最大25分、資材搭載時は平均17分程度です。粒剤は液剤より積載重量が重くなりやすく、1フライトあたりの面積は散布量設定で大きく変わります。作業日はバッテリーを最低6本、余裕を見るなら8本用意しておくと、積み替え待ちで適期を逃しません。

作業当日までの段取り(チェックリスト)

1. 圃場側の準備

  • 稲わらが厚く偏っていないか(塊になっている場所は発芽しにくい)
  • 排水口・明渠の状態(過湿は発芽不良・根腐れの原因)
  • 電線・支柱・防鳥網・隣接住宅など障害物の位置確認
  • 隣接圃場の作付け状況と、後作の作型との整合

2. 飛行側の準備

  • 飛行禁止区域の最新確認:2026年7月14日からドローンの飛行禁止エリアが拡大しています。以前は問題なく飛ばせていた圃場でも、現在は制限対象になっている可能性があります。飛行計画の都度、最新情報を確認してください。
  • 物件投下の承認:種子や肥料の空中散布は航空法上の「物件の投下」に該当するため、国土交通省の承認(包括申請等)が必要です。承認の範囲に今回の作業が含まれているかを事前に確認しましょう。
  • 飛行計画の通報、リモートID、機体登録の有効期限
  • 保険の付保状況(マゼックス製は購入後にメーカー申請を行うことで1年目無料のドローン保険〈対人対物1億円〉が付帯します)
  • 飛行日誌・作業記録の様式準備

申請や承認の範囲に不安がある場合は、飛行申請代行のご相談も承っています。

散布の実務:高度・速度・ラップ率

粒剤は液剤と違って落下しながら横に広がるため、散布幅の見極めが仕上がりを決めます。実際の有効散布幅を試し撒きで確認し、重なり(ラップ)を取りながら往復するのが基本です。

  • 高度を上げすぎると風で流され、下げすぎると幅が狭くなり筋ムラになる
  • 旋回時は吐出を止め、直線区間で安定した速度を保つ
  • 圃場の外周は一周先に播いてから内側を往復すると、端の播き残しが減る
  • 風向きが変わったら、散布方向もそれに合わせて見直す

自動航行を使う場合は、圃場外周の登録とルート設計を事前に済ませておくと当日の作業が速くなります。自動航行まわりの設定は冬の間に整えておくのがおすすめです。

作業後が本番:粒剤散布装置の洗浄と越冬整備

種子や肥料を扱った後の粒剤散布装置は、残った資材の吸湿による固着と金属部のサビが最大の敵です。シーズン最後の作業になることが多いため、そのまま倉庫に入れてしまうと、春に動かしたときに吐出不良が出ます。

  • タンク・シャッター・繰り出し部の資材を完全に空にし、乾いた状態で保管する
  • 水洗いした場合は内部まで確実に乾燥させる
  • バッテリーは満充電・完全放電のまま放置しない。耐用の目安は約2年・200サイクルで、膨らんだものは使用せず整備事業所へ

洗浄と越冬保管の具体的な手順は、農業ドローンの洗浄と保管ガイドで詳しく解説しています。あわせて、年1回の機体点検(年次点検)は飛行許可・承認申請やメーカー保証の前提条件になる重要な整備です。現行機の点検費用の目安は8万円程度(税別・目安、機種や状態により変動)。11月〜2月の閑散期は比較的日程を確保しやすい時期なので、緑肥播種が終わったタイミングでの予約をおすすめします。整備のご相談はドローン販売・整備から、お近くの対応拠点は拠点情報でご確認ください。

自分で播くか、代行に頼むか

機体をまだ持っていない、あるいは今季は人手が足りないという場合は、オペレーション代行という選択肢があります。参考までに、公式サイト掲載の農薬散布代行の実績例は約10,000円/回〜(4,000㎡まで。4,000㎡を超える分は10a〈1,000㎡〉あたり1,800円、飛行許可申請費用込み/いずれも目安)です。緑肥の種子散布は資材の種類や圃場条件で作業内容が変わるため、料金は都度のお見積りとなります。まずは圃場の面積と場所、播きたい資材を公式LINEでお知らせください。

なお、秋冬はキャベツ・ハクサイなど秋冬野菜の防除と作業が重なる時期でもあります。代行依頼は天候待ちの順延も起こり得るため、早めの打診が確実です。

導入を検討する方へ:冬は準備に最適な季節

産業用ドローンは初購入時にメーカー指定の機体研修受講が必須です。研修・国家資格の取得・飛行申請の整備を農閑期(11月〜2月)に済ませておくと、春の作業開始に余裕を持って間に合います。国家資格対策コースの受講料の目安(税込)は、二等 初学者385,000円/二等 経験者125,000円、一等 初学者725,000円/一等 経験者425,000円です(本部のみ開催・目安)。修了審査に合格すると指定試験機関の実地試験が免除されます。人材開発支援助成金の対象となる講習もありますので、条件の個別確認はLINEへどうぞ。コース内容はドローンスクールのページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. ドローンで表層に播いて、本当に発芽しますか?

条件次第です。地表の水分が確保でき、稲わらが均一に散っていれば実用的な発芽が期待できますが、乾燥が続く年や残渣が厚い場所ではムラが出ます。播種後に軽く鎮圧する、入水・排水で水分を調整するなど、圃場ごとの補助作業を組み合わせるのが現実的です。まずは一部の圃場で試し、結果を記録して翌年に反映させる進め方をおすすめします。

Q2. 肥料用の設定のまま種子を播いてもいいですか?

おすすめしません。粒径・比重・形状が違えば吐出量も飛散幅も変わります。必ず資材ごとに試し撒きを行い、10aあたりの散布量を実測してから本番に入ってください。コーティング種子と裸種子でも挙動が変わります。装置の対応可否が分からない場合は、販売店・整備事業所にご相談ください。

Q3. 種まきでも飛行の許可・承認は必要ですか?

はい。種子や肥料の空中散布は航空法上の「物件の投下」に該当するため、国土交通省の承認が必要です。農薬散布の包括申請を取得済みでも、対象となる飛行形態や資材の範囲に含まれているかの確認が必要になる場合があります。加えて、2026年7月14日からは飛行禁止エリアが拡大しているため、圃場の位置が制限対象になっていないか、飛行の都度ご確認ください。

Q4. 1日でどのくらいの面積を播けますか?

散布量設定・圃場の形・移動距離で大きく変わるため、一律の面積はお答えできません。目安として、1バッテリーの飛行時間は最大25分、資材搭載時は平均17分程度です。バッテリーは最低6本、安心して回すなら8本の用意を推奨しています。具体的な試算は、圃場図と面積をお送りいただければLINEでご案内します。

Q5. 飛助DX・飛助miniを使っていますが、粒剤散布はできますか?

飛助DXシリーズ・飛助miniは新規販売を終了していますが、既存機のアフターサポートは継続しています。装置の対応状況は機種・年式・仕様により異なるため、お使いの機体の情報をお知らせください。後継機としては飛助10をご案内しています。買い替えや下取りの可否・条件は個別の状態によりますので、公式LINEでご相談ください。

まとめ

  • 秋播き緑肥は適期が短く、ドローン播種は「適期を逃さない」ための有効な手段。軟弱地や分散圃場にも強い
  • 品種・播種量・適期は地域の指導機関やJA、種苗メーカーの推奨に従って決める
  • 粒剤散布装置は資材ごとに吐出量が変わる。必ず試し撒きで10aあたりの量を実測する
  • 種子・肥料の空中散布は航空法上の「物件の投下」に該当し、承認が必要。2026年7月14日の飛行禁止区域拡大も都度確認する
  • 作業後は粒剤装置の資材を完全に抜いて乾燥保管。年次点検は飛行許可・保険・保証の前提条件となるため、閑散期の11月〜2月に予約を
  • 機体価格・点検費・代行料金はすべて目安。現場条件で変わるため、個別の見積りは公式LINEへ

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