ドローン 夜間飛行・目視外飛行の申請2026|日没が早い秋に必要な承認と安全対策・限定変更ガイド


9月下旬、稲刈りも終盤に差しかかり、日没時刻は日ごとに早くなっています。「作業が押して気づけば薄暗い」「夕方に圃場や太陽光発電所を見回りたい」「収穫後の獣害柵を広範囲に確認したい」——この時期、現場から増えるのが夜間飛行と目視外飛行に関するご相談です。どちらも航空法で国土交通大臣の承認が必要になる飛行方法で、「ちょっとだけだから」「自分の土地だから」という理由で例外にはなりません。この記事では、承認が必要な飛行の整理、申請の準備、二等・一等の技能証明と限定変更の関係、そして秋特有の安全リスクまでを、農業・点検の現場目線でまとめます。
秋に「夜間飛行」「目視外飛行」の相談が増える3つの理由
春夏の散布シーズンと違い、秋の飛行は時間帯と目的が広がります。ドローンキングに寄せられるご相談を整理すると、大きく次の3パターンです。
1. 日没が早く、作業時間が夕方に食い込む
9月下旬の日の入りは、地域によっては17時台後半です。10月、11月と進めばさらに早まり、16時台に暗くなる地域も出てきます。日中は収穫作業、夕方にドローンで圃場確認——という段取りだと、いつの間にか「日没後」に入ってしまいます。航空法上の夜間は日出から日没までの間以外を指し、「まだ何となく見える」薄暮の時間帯でも、日没を過ぎていれば夜間飛行として承認が必要です。
2. 収穫後の広域確認で、目視の限界を超えやすい
刈り取り後の圃場記録、排水不良箇所の洗い出し、山際の獣害柵チェック、林地や太陽光発電所の点検。対象が広いほど機体は遠くへ行き、操縦者が自分の目で機体を視認できる範囲(目視内)を簡単に超えます。双眼鏡やモニター越しの確認は目視内には含まれません。
3. 収穫期・台風後の緊急確認ニーズ
台風や大雨のあと、明るいうちに現場へ行けないケースもあります。ただし、緊急だからといって無承認で飛ばしてよいわけではありません。日頃からオペレーション代行や包括申請を準備しておくことが、結果的にいちばん早い解決策になります。
承認・許可が必要な飛行を一覧で整理する
航空法では、無人航空機の飛行について「飛んではいけない空域(許可が必要)」と「守らなければならない飛行のルール(承認が必要)」の2種類が定められています。農業・点検の現場で関係しやすいものを整理しました。
| 区分 | 内容 | 秋の現場での例 |
| 空域(許可) | 空港等周辺/地表から150m以上/人口集中地区(DID)上空 など | 市街地に隣接した圃場、住宅地の屋根点検 |
| 飛行方法(承認) | 夜間飛行 | 日没後の圃場確認、夕方の見回り |
| 飛行方法(承認) | 目視外飛行 | 山際・林地・広大な発電所の点検 |
| 飛行方法(承認) | 人・物件から30m未満の飛行 | 電柵・建物・車両に近づく点検 |
| 飛行方法(承認) | 催し場所上空/危険物輸送/物件投下 | 農薬・肥料・種子の散布、資材投下 |
| その他 | 機体登録・リモートID・飛行計画の通報・飛行日誌 | すべての100g以上の機体が対象 |
農薬散布は、それ自体が「危険物の輸送」と「物件投下」に該当するため、日中であっても承認が前提です。ここに夜間や目視外が重なると、承認項目が増え、求められる体制もより厳しくなると理解してください。空域側の注意点はコラム一覧の飛行禁止区域の記事もあわせてご確認ください。
夜間飛行の承認で求められること
機体側の準備
夜間飛行では、機体の向きや位置が分かる灯火が必要です。灯火が標準装備でない機体は、後付けの灯火で要件を満たす形になります。灯火のない機体で「月明かりがあるから」と飛ばすのは不可です。また、夜間は自動帰還(RTH)時の障害物回避が効きづらい場面もあるため、帰還高度の設定は日中以上に慎重に行ってください。
操縦者側の準備
夜間の承認申請では、夜間飛行に関する訓練実績が求められます。いきなり本番ではなく、日没前から同じ場所で飛ばして地形と障害物を頭に入れ、明るさが落ちる過程を体験しておくのが基本です。屋内や許可された場所での夜間訓練を、飛行日誌に記録として残しておきましょう。
体制側の準備
夜間は第三者の接近に気づきにくく、補助者の配置と灯火・反射材の着用、離着陸地点の照明確保が重要になります。近隣への事前周知も、夜間は特にトラブル防止に効きます。「夜間に何かが飛んでいる」という不安が通報につながるケースは実際にあります。
目視外飛行は「補助者あり」と「補助者なし」で難易度が変わる
目視外飛行は、操縦者が機体を直接見ずに、カメラ映像や地図画面を見ながら飛ばす飛行です。承認の考え方は大きく2段階に分かれます。
| 項目 | 補助者ありの目視外 | 補助者なしの目視外 |
| 体制 | 飛行経路に補助者を配置し、周囲の安全を目視で確認 | 補助者を置かず、機上カメラ・地上設備等で安全を確保 |
| 求められる水準 | 機体性能・操縦者の訓練実績・通信の安定性 | 経路下の無人化、リスク評価、より高い機体・運航体制の要件 |
| 典型例 | 林地の資材運搬、広い発電所の点検 | 長距離の物資輸送、山間部のインフラ点検 |
| 準備期間の目安 | 訓練実績の積み上げに時間がかかる | 案件ごとの個別調整が前提。余裕を持った計画が必須 |
山小屋や獣害柵への資材運搬のように、距離が長く地形が複雑な案件は、機体選定から運航体制まで含めた設計が必要です。自社で体制を整える前に、まずは代行で実績を確認するという進め方も現実的です。物資輸送代行の費用は約50,000円/回〜(現場により都度見積り、初回は下見が別途同額)が目安で、地形・距離・搬送量で大きく変動します。
二等・一等の技能証明と「限定変更」で手続きはどう変わるか
国家資格(技能証明)を取得すると、飛行の一部で申請手続きが簡略化されます。ただし、二等・一等ともに標準の技能証明には「昼間限定」「目視内限定」「最大離陸重量25kg未満限定」という条件が付いています。夜間や目視外を扱うには、この限定を解除する限定変更の講習・試験が必要です。
| コース(本部開催) | 受講料の目安(税込) | 主な想定 |
| 二等 初学者 | 385,000円(目安) | これから始める就農者・新規担当者 |
| 二等 経験者 | 125,000円(目安) | 民間資格・実務経験のある方 |
| 一等 初学者 | 725,000円(目安) | レベル4(有人地帯の目視外飛行)まで見据える方 |
| 一等 経験者 | 425,000円(目安) | 業務で飛行実績があり上位資格を目指す方 |
※金額はいずれも目安(税込)で、時期・開催内容により変わる場合があります。最新の開催日程や限定変更の取り扱い、人材開発支援助成金の対象講習の条件は個別確認となりますので、公式LINEでお問い合わせください。修了審査に合格すると指定試験機関の実地試験が免除されます。コースの詳細はコース紹介ページ、教習の流れはスクールページをご覧ください。11月以降の農閑期は受講しやすい時期です。
なお、技能証明があってもすべての申請が不要になるわけではありません。カテゴリーや飛行内容によっては引き続き許可・承認が必要で、飛行計画の通報や飛行日誌の記載も求められます。「資格を取ったから自由に飛ばせる」は誤解ですのでご注意ください。
申請の流れと、秋のうちに動くべき理由
手続きはオンライン(DIPS2.0)で行います。おおまかな流れは次のとおりです。
- 機体登録とリモートIDの確認(登録記号の表示・有効期限のチェック)
- 機体・操縦者の情報登録、飛行実績(訓練実績)の整理
- 飛行の目的・場所・方法を決めて許可承認申請(年間包括申請も可)
- 審査・補正対応 → 許可書の交付
- 飛行前に飛行計画を通報、飛行後に飛行日誌へ記録
審査には一定の日数がかかり、記載不備があれば補正のやり取りでさらに時間が延びます。「来週から飛ばしたい」では間に合わないのが通常と考え、余裕を持って準備してください。とくに夜間・目視外は訓練実績の裏付けを求められるため、実績づくりから逆算すると数か月単位の計画になることもあります。散布シーズンが落ち着く秋冬は、申請と訓練を整える絶好のタイミングです。
ドローンキングでは機体販売・整備とあわせて飛行申請代行・ドローン保険のご相談も承っています。申請と同時に、年次点検(年1回)の予定も組んでおきましょう。点検は飛行許可・承認申請やメーカー保証の前提条件となる重要な整備で、現行機の点検費は8万円程度(税別・目安)です。機体状態により変動しますので、詳細はご相談ください。
秋の夜間・薄暮飛行 現場チェックリスト
- 飛行禁止区域の再確認:2026年7月14日からドローンの飛行禁止エリアが拡大しています。以前は飛べた場所でも、最新の区域情報を毎回確認してください。
- 日没時刻の確認:作業終了の目標時刻は日没の30分前に設定。薄暗くなってからの延長は避ける。
- 気温低下とバッテリー:秋以降は気温低下で電圧が落ちやすく、飛行時間が短くなります。飛助シリーズは1バッテリー最大25分、薬剤搭載時で平均17分が目安ですが、低温時はさらに余裕を見てください。膨らんだバッテリーは使用禁止、整備事業所へご相談を。
- 露と霧:秋の朝夕は放射冷却で霧が出やすく、レンズや機体が濡れます。視程が確保できない場合は中止。
- 風速:飛助シリーズの最大使用風速は8m/sですが、農薬散布は農林水産省の規定により風速3m/s以下で実施します。
- 夜間の農薬散布は原則避ける:暗所ではドリフトや隣接圃場への影響、周囲の人の確認が難しく、地域の防除指針でも想定されていないことがほとんどです。散布は原則として日中に、登録のある薬剤をラベルどおりに、地域の防除指針・JAの防除暦を確認して実施してください。
- 離着陸地点の照明:ヘッドライト等で足元と機体を照らし、投光器で操縦者がまぶしくならない配置にする。
- 近隣周知:夜間・早朝は音が響きます。事前の一声がトラブルを防ぎます。
よくある質問
Q1. 日没直後の「まだ明るい時間」なら夜間飛行に当たりませんか?
日出から日没までの間以外は夜間として扱われます。体感的に明るくても、日没を過ぎていれば夜間飛行の承認が必要です。作業計画は日没時刻を基準に組み、余裕を持って切り上げてください。
Q2. 自分の敷地内・自分の田んぼの上だけなら申請は不要ですか?
土地の所有者であっても、航空法の飛行方法のルールは適用されます。夜間飛行・目視外飛行・人や物件から30m未満の飛行などは、私有地上空でも承認の対象です。屋内や、四方と上部を覆われた空間での飛行は航空法の対象外となりますが、屋外の圃場は該当しません。
Q3. 国家資格(二等)を取れば夜間も目視外も飛ばせますか?
標準の技能証明には昼間・目視内などの限定が付いており、解除には限定変更の講習・試験が必要です。また限定を解除しても、飛行内容によっては引き続き許可・承認や飛行計画の通報が必要になります。ご自身の飛行計画に何が必要かは、公式LINEで具体的な条件をお知らせいただければ整理してご案内します。
Q4. 申請にはどのくらい時間を見ておけばよいですか?
内容や不備の有無で変わるため一律には言えませんが、直前申請では間に合わないケースが大半です。とくに夜間・目視外は訓練実績の準備も含めて逆算が必要です。散布が落ち着く秋冬のうちに、年間包括申請と機体登録の有効期限、年次点検をまとめて整えておくのが効率的です。
Q5. 自社で飛ばすより代行に頼んだほうがよい場面はありますか?
年に数回しか発生しない点検や、地形が複雑で目視外の体制構築が必要な案件は、代行のほうが総コストを抑えられることがあります。太陽光パネル洗浄は約10,000円/回〜(5kWまで、以降1kWごとに+500円、申請費用込み)が目安、農薬散布は約10,000円/回〜(4,000㎡まで、超過分は10aあたり1,800円、飛行許可申請費用込み)が目安です。いずれも現場条件で変動しますので、正確なお見積りはご相談ください。対応内容は拠点により異なりますので、拠点情報もご確認ください。
まとめ
- 日出から日没までの間以外の飛行は夜間飛行にあたり、薄暗い程度でも承認が必要
- 目視外飛行は「補助者あり」「補助者なし」で求められる体制が大きく変わる
- 農薬散布は日中でも危険物輸送・物件投下として承認が前提。夜間散布は安全面から原則避ける
- 二等・一等の技能証明には昼間・目視内などの限定があり、解除には限定変更が必要
- 申請は直前では間に合わない。秋冬のうちに包括申請・機体登録・年次点検をまとめて整える
- 2026年7月14日から飛行禁止エリアが拡大。飛行計画のたびに最新区域を必ず確認する
- 受講料・点検費・代行費はいずれも目安。条件により変動するため個別にご相談を