2026.09.13

コラム

斑点米 等級落ち対策2026|収穫後の秋にやる畦畔・雑草管理と来季のカメムシ防除設計

斑点米 等級落ち対策2026

稲刈りが進み、検査結果が出そろう時期になりました。「今年も斑点米で等級が落ちた」「出荷してから初めて色彩選別機の歩留まりの悪さに気づいた」という声は、毎年9月から10月にかけて増えます。斑点米カメムシ対策というと出穂期の薬剤散布に意識が向きがちですが、被害を減らす分かれ目は、実は収穫後から翌春にかけての畦畔(けいはん)・雑草管理にあります。この記事では、等級落ちしてしまった後にこそ着手したい秋の圃場管理と、来季のドローン防除をどう設計し直すかを、実務の順番に沿って整理します。農薬名の断定推奨はせず、地域の防除指針・JAの防除暦を前提とした考え方としてまとめました。

斑点米による等級落ちは「1000粒に1粒」の世界

斑点米とは、カメムシ類が籾(もみ)の乳熟期に吸汁することで、玄米の表面に黒褐色の斑点が残った米のことです。食味そのものが大きく変わるわけではないものの、農産物検査では着色粒の混入率で等級が下がるため、ごくわずかな混入でも一等米から落ちてしまう点が厄介です。1等から2等、2等から3等へ落ちれば、同じ面積・同じ手間をかけても手取りは確実に目減りします。色彩選別機を通せば見た目は改善しますが、選別ロスと電気代・時間という別のコストが発生します。

つまり斑点米は「被害率は低いのに損失は大きい」という、極端に費用対効果の悪い被害です。だからこそ、出穂期の1〜2回の散布だけに頼るのではなく、発生源そのものを年間を通じて減らす発想が必要になります。

等級落ちした年に、まず確認しておきたい3つの記録

  • 圃場ごとの被害の偏り:山際、休耕田の隣、畦畔が広い区画など、どこで多かったか
  • 今年の出穂期と散布日のズレ:出穂後の散布タイミングが何日目だったか
  • 草刈りの時期:出穂の直前に畦畔や周辺の草を刈っていなかったか

この3点をメモしておくだけで、来季の防除計画の精度が大きく変わります。記憶は翌年の春には確実に薄れるので、稲刈り直後の今、スマートフォンのメモや圃場地図に書き込んでおくことをおすすめします。空撮で圃場の位置関係や雑草の分布を俯瞰的に記録しておく方法もあり、ドローンによるオペレーション代行ではこうした記録用の空撮にも対応しています。

なぜ「秋」の対策が効くのか

斑点米の原因となるカメムシ類の多くは、水田そのものではなく畦畔・農道法面・休耕田・耕作放棄地のイネ科雑草で増殖し、そこから出穂した水田へ移動してきます。イネ科・カヤツリグサ科の雑草が穂をつけると、それが格好の餌場・繁殖場所になります。

秋から冬にかけての管理が効く理由は次の通りです。

  • 収穫後の草地は、越冬場所(落葉下・株元・枯れ草の中)になる
  • ひこばえ(再生イネ)や落ち穂が餌として残り、個体数を維持してしまう
  • 秋のうちに草丈を下げておくと、翌春の立ち上がりが遅れ、初期の増殖を抑えやすい
  • 農作業が落ち着く時期なので、畦畔の補修や広範囲の草刈りに時間を割ける

逆に、出穂直前の草刈りは避けるべきとされています。餌場を失ったカメムシが一斉に水田へ移動し、かえって被害を増やすおそれがあるためです。草刈りは「出穂の2週間以上前までに済ませる」「出穂期以降は水田に追い込まない」という時期の考え方が重要で、これは地域の防除指針でも共通して指導されている基本です。詳しい適期は必ずお住まいの都道府県の防除指針やJAの防除暦を確認してください。

収穫後から翌春までの月別スケジュール

斑点米対策を「防除」ではなく「圃場管理の年間計画」として捉えると、やるべきことは次のように整理できます。

時期 圃場・畦畔でやること ドローン・機材まわりでやること
9月(収穫期) 被害の偏りを記録/落ち穂・ひこばえの状況確認 散布日・出穂日の記録整理、空撮で圃場マップ作成
10月 畦畔・農道法面の草刈り/秋起こしで稲わら・ひこばえをすき込む 機体の洗浄・保管準備、年次点検の予約
11月 畦畔の崩れ補修/隣接休耕田の管理を地権者と相談 バッテリーの冬越し保管、消耗品の交換手配
12〜2月 集落での共同防除・草刈り体制の話し合い 国家資格の受講、機体の買い替え・追加導入の検討
3〜4月 春の除草開始/畦畔の草丈を低く維持する計画づくり 飛行許可・承認申請の更新、散布計画の作成
5〜6月 畦畔の定期草刈り(出穂2週間前までに完了させる段取り) 試験飛行・薬剤の準備、散布業者への予約確定

※あくまで一般的な水稲作の目安です。地域・品種・作期によって前後します。

畦畔・雑草管理の実務ポイント

1. 草丈を「穂をつけさせない」高さで維持する

カメムシが増えるのは、イネ科雑草が出穂したときです。年に1〜2回だけ草を伸ばしきってから刈るより、短い草丈を保つ回数重視の管理のほうが発生源対策としては有効とされています。ただし労力とのバランスがあるため、被害が多かった圃場の周囲から優先的に回数を増やすのが現実的です。

2. 「自分の畦」だけでは足りない

カメムシは数百メートル単位で移動します。隣接する休耕田・耕作放棄地・河川堤防などが発生源になっている場合、自分の畦畔だけを刈っても効果は限定的です。集落営農や地域の生産部会単位で、誰がどの範囲をいつ刈るかを秋のうちに決めておくと、翌年の6〜7月に慌てずに済みます。

3. 秋起こしでひこばえと落ち穂を断つ

収穫後に放置された再生イネ(ひこばえ)は、秋のカメムシにとって餌そのものです。秋起こしで稲わらとともにすき込むことは、土づくり・わら腐熟の面でもメリットがあり、斑点米対策としても意味があります。土づくり資材の散布にドローンを使う場合は、粒剤散布装置を搭載した機体が選択肢になり、マゼックス社の製品ラインナップでは飛助15プロ・飛助10プロがこれに対応しています。

4. 草刈りの省力化という選択肢

畦畔管理はとにかく体力勝負です。法面や広い畦を抱える経営体では、リモコン式の草刈り機を導入して作業時間と事故リスクを下げる方法もあります。ドローンキングではスマート農機としてラジコン草刈り機Taurus80Eなども取り扱っており、圃場条件に合うかどうかは現地の傾斜・面積次第です。

来季のドローン防除をどう設計し直すか

秋の発生源対策とセットで、翌年の散布計画も見直しておきましょう。等級落ちした年の多くは「散布回数」ではなく「タイミング」と「散布ムラ」に原因があります。

出穂期を起点に日程を逆算する

斑点米カメムシの防除は、出穂期を起点に適期が決まります。田植え日ではなく実際の出穂日から逆算・順算して散布日を決めることが基本で、品種ごとに出穂がずれる場合は圃場をグループ分けして計画します。使用する薬剤は必ず水稲に登録のあるものを選び、希釈倍率・使用時期・使用回数をラベルどおりに守ってください。適期や薬剤の選定は地域の防除指針・JAの防除暦を確認し、迷う場合は普及指導センターに相談するのが確実です。

散布ムラを減らす飛行条件

ドローン散布で効果が出ない典型例が、風による飛散と重複不足によるムラです。飛助シリーズの機体は最大使用風速8m/sですが、農薬散布は農林水産省の規定により風速3m/s以下で実施します。朝夕の凪の時間帯を狙い、散布幅の重ね代を一定に保つことが、結果的に斑点米の抑制につながります。

作業量から必要なバッテリー本数を逆算する

飛助シリーズの飛行時間は1バッテリーで最大25分、薬剤搭載時は平均17分です。液剤散布では1haあたり8L程度が目安となるため、面積が増えるほどバッテリーの回転が勝負になります。1日稼働するならバッテリーは最低6本、8本あれば安心という考え方が実務的です。バッテリーの耐用は約2年・200サイクルが目安で、膨らみが出たものは絶対に使用せず整備事業所へご相談ください。機体選びやバッテリー構成はドローン販売・整備のページもあわせてご覧ください。

自分でまくか、代行に頼むか

「来季こそ適期に散布したいが、人手も機体もない」という場合、散布代行という選択肢があります。ドローンキングのオペレーション代行における農薬散布の料金は、約10,000円/回〜(4,000㎡まで。以降1,000㎡ごとに+2,000円、飛行許可申請費用込み)が目安です。圃場の形状・障害物・アクセス・散布時期の混雑状況によって変動しますので、正確な金額は現場条件をふまえたお見積りになります。

選択肢 向いているケース 費用の目安
散布代行を依頼 面積が限られる/人手がない/まず効果を試したい 約10,000円/回〜(4,000㎡まで)が目安
機体を購入して自分でまく 面積が広い/適期に何度も入りたい/受託も視野 飛助10アドバンス998,000円〜、飛助15アドバンス1,200,000円〜(いずれも税別・定価の目安)
国家資格を取得して体制を作る 法人・集落営農で内製化したい/受託事業を考えている 二等初学者385,000円、二等経験者125,000円(税込・目安)

※上記はいずれも目安です。時期・現場条件・機体構成により変動します。値引きやキャンペーン、在庫・納期については個別のご案内となりますので、公式LINEでご確認ください。産業機を初めて購入する場合は、メーカー指定の機体研修の受講が必須となる点もあわせてご留意ください。

なお、秋から冬にかけては農閑期にあたるため、国家資格取得スクールの受講スケジュールを組みやすい時期でもあります。春の作業が始まる前に資格と体制を整えておくと、翌年の防除の自由度が変わります。コース内容はコース紹介ページをご確認ください。

秋のうちに済ませたい機体まわりの準備

畦畔管理と並行して、来季に向けた機体の整備も秋のうちに動いておくのが得策です。

  • 年次点検(年1回):国土交通省への飛行許可・承認申請やメーカー保証の前提条件となる重要な整備です。現行機の点検費は8万円程度(税別・目安)。散布シーズン前の春は予約が集中するため、閑散期の秋冬に押さえておくとスムーズです
  • バッテリーの冬越し保管:保管に適した充電量を保ち、極端な高温・低温を避けて保管します。膨らみのあるセルは使用せず、整備事業所へご相談ください
  • 飛行許可・承認申請の確認:農薬散布は「危険物輸送」「物件投下」に該当し、申請が必要です。包括申請の期限や機体登録の有効期限を秋のうちに棚卸ししておきましょう
  • 飛行禁止エリアの再確認:2026年7月14日からドローンの飛行禁止エリアが拡大しています。昨年まで問題なく飛ばせていた圃場でも条件が変わっている可能性があるため、飛行計画時は必ず最新の飛行禁止区域を確認してください

なお、マゼックス製の機体には1年目無料のドローン保険(対人対物1億円)が付帯します(購入後にメーカーへの申請が必要です)。2年目以降の継続については加入条件がありますので、お近くの拠点までご相談ください。対応サービスは拠点により異なるため、拠点情報のページで最寄りをご確認いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 等級落ちしてしまった今年の米に、後からできる対策はありますか?

収穫後にできるのは選別による見た目の改善が中心で、色彩選別機を通す、乾燥調製時の選別精度を上げるといった対応になります。ただし選別ロスと手間が発生するため、根本的には翌年の発生源対策と散布適期の見直しで被害率そのものを下げる方向が有効です。まずは今年の被害の偏りを記録に残すところから始めてください。

Q2. 畦畔の草刈りは、いつ刈るのが良いのでしょうか?

一般に、出穂直前の草刈りはカメムシを水田へ追い込むおそれがあるため避け、出穂の2週間以上前までに済ませるという考え方が広く指導されています。秋は越冬前の草丈を下げる意味で有効です。具体的な適期は地域や品種で異なるため、都道府県の防除指針やJAの防除暦、普及指導センターの案内をご確認ください。

Q3. 来季の散布代行は、いつ頃予約すればよいですか?

水稲の出穂期は地域で集中するため、散布依頼もその時期に一斉に重なります。圃場の場所・面積・希望時期が決まった段階で早めにご相談いただくのが確実です。秋〜冬のうちに面積と圃場の位置を共有いただければ、翌年の作業計画に組み込みやすくなります。料金・日程の詳細は公式LINEからお問い合わせください。

Q4. 農薬散布にはドローンの免許が必要ですか?

ドローンの操縦自体に免許は原則不要ですが、農薬散布は物件投下・危険物輸送にあたるため、国土交通省への飛行許可・承認申請が必要です。目視外飛行など特殊な飛行形態では技能証明が求められる場合もあります。国家資格(一等・二等)を取得しておくと申請面での取り扱いがスムーズになるケースがあり、体制づくりの面でも有利です。

Q5. 中古機や既存の飛助DX・飛助miniでも散布は続けられますか?

飛助DXシリーズ・飛助miniは新規販売を終了していますが、既存機のアフターサポートは継続しています。買い替えを検討される場合の後継機は飛助10のご案内となります。年次点検やバッテリーの状態によって継続使用の可否は変わりますので、まずは整備のご相談からお受けしています。

まとめ

  • 斑点米は「わずかな混入で等級が落ちる」被害。出穂期の散布だけでなく発生源対策が鍵
  • カメムシの主な増殖場所は畦畔・農道法面・休耕田のイネ科雑草。秋の草丈管理が翌年に効く
  • 出穂直前の草刈りは水田へ追い込むおそれがあるため避け、出穂2週間以上前までに完了させる
  • 秋起こしでひこばえ・落ち穂を断ち、集落単位で草刈り分担を決めておく
  • 来季の散布は出穂日を起点に逆算。風速3m/s以下、1haあたり液剤8L程度が目安
  • 薬剤は登録のあるものをラベルどおりに。適期は地域の防除指針・JA防除暦を必ず確認
  • 散布代行は約10,000円/回〜(4,000㎡まで)が目安。条件により変動
  • 年次点検(8万円程度・税別の目安)は飛行許可・保険・保証の前提。閑散期の秋冬に予約を
  • 2026年7月14日から飛行禁止エリアが拡大。飛行計画時は最新情報を必ず確認

秋の畦畔管理は地味な作業ですが、来年の検査結果に直結する投資です。今年の記録が残っているうちに、来季の防除設計まで一気に組み立ててしまいましょう。機体選び・散布代行・資格取得のいずれも、お問い合わせフォームまたは公式LINEからご相談いただけます。

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