2026.08.23

コラム

麦作 ドローン活用ガイド2026|秋播き小麦・大麦の播種・除草剤・追肥を省力化する実務手順

麦作 ドローン活用ガイド2026

稲刈りが一段落する9月下旬から11月にかけて、麦作地帯では秋播き小麦・大麦の準備が本格化します。麦は水稲と違って「播いてから収穫まで約8か月」と作期が長く、播種・除草・追肥・赤かび病防除と、要所ごとに人手と時間を取られる作物です。近年はこの一連の作業にドローンを組み込み、作業時間とコストを圧縮する経営体が増えてきました。

この記事では、麦作の作業暦に沿って「ドローンでできること・向かないこと」を整理し、粒剤散布装置を備えた機体の使いどころ、散布代行を頼む場合の料金目安、そして風速や飛行申請といった安全・法令面の注意点までを実務目線でまとめます。今年の秋から一部だけ試したい方にも役立つ構成にしています。

麦作の作業暦とドローンの出番

まず、秋播き麦の標準的な流れを確認します。地域や品種で前後しますので、実際の適期は必ず地域の栽培指針やJAの作付け暦に合わせてください。

時期 主な作業 ドローン活用 ポイント
9月下旬〜10月 前作残渣のすき込み・排水対策・基肥 △(基肥の粒剤散布は可) 耕うん・明渠は機械作業。麦は湿害に弱く排水設計が最優先
10月下旬〜11月 播種 ○(粒剤散布装置による散播) 湿田・不整形圃場での代替手段として有効。均一性と鎮圧が課題
11月〜12月 播種後の雑草防除(土壌処理) ぬかるむ時期でも入圃せず散布できるのが最大の利点
1月〜2月 麦踏み・排水点検・生育診断 △(空撮による生育ムラ確認) 上空からの画像で生育の濃淡や湿害箇所を把握しやすい
2月〜3月 追肥(起生期・節間伸長期) 粒剤散布装置の本領。ぬかるみでもトラクタを入れずに済む
4月〜5月 赤かび病・アブラムシ等の防除 開花期の短い適期を逃さないスピードが価値
5月下旬〜6月 収穫・乾燥 × コンバイン作業。空撮での倒伏確認は補助的に有効

麦作でドローンが効くのは「圃場に入りたくない時期」と「適期が短い作業」です。冬から早春の圃場は水分が多く、重い機械を入れると轍ができて排水を悪化させます。上空から作業できることは、麦作にとって単なる省力化以上の意味を持ちます。

ドローン播種(散播)は麦に使えるのか

粒剤散布装置を搭載した機体を使えば、麦種子の散播は技術的に可能です。水稲の直播で実績が積み上がってきた手法を麦に応用する形で、とくに以下のような条件で検討価値があります。

  • 水稲の収穫が遅れ、播種適期に耕うん・条播が間に合わない
  • 排水が悪く、播種機を入れると沈む圃場がある
  • 小面積・不整形の飛び地が多く、機械の移動時間が読めない

一方で、条播に比べると出芽の均一性、覆土・鎮圧、鳥害という課題があります。散播後に軽く土入れ・鎮圧を行う、播種量を条播よりやや増やすといった補正が前提になります。いきなり全面積を切り替えるのではなく、まずは一枚の圃場で試して自分の土質・排水条件での再現性を確かめるのが現実的です。導入前に自分の圃場条件で成立するかどうかは、機体選定と合わせてお問い合わせフォームや公式LINEでご相談ください。

播種に使うなら粒剤散布装置付きモデルを

マゼックス社の「飛助15 プロ」は粒剤散布装置が付いた仕様で、種子・粒状肥料・粒剤農薬に対応します。定価の目安は税別1,450,000円(粒剤散布装置付)、液剤専用の「飛助15 アドバンス」は税別1,200,000円が目安です。一回り小型の「飛助10」はアドバンスが税別998,000円、プロが税別1,248,000円が目安となります。いずれも税別・目安であり、時期や仕様、付属品構成によって変動します。最新の価格や構成は製品一覧をご覧いただくか、公式LINEでご確認ください。

なお、産業用ドローンを初めて購入する際は、メーカー指定の機体研修の受講が必須です。秋に発注して冬のうちに研修を終え、春の追肥・防除からデビューする、という段取りが麦作では理にかなっています。

播種後の除草剤散布こそドローン向き

麦作でドローンの費用対効果がもっとも分かりやすいのが、播種後から年内にかけての雑草防除です。この時期は降雨が続くと圃場に入れず、ブームスプレーヤの作業適日が限られます。ドローンなら畦畔から離陸して短時間で散布でき、轍を残しません。

ただし、使用できる薬剤は作物・雑草・剤型ごとに登録が決まっています。ドローン(無人航空機)による散布に対応した登録のある薬剤を選び、必ずラベルの記載どおりの希釈倍率・使用時期・使用回数を守ってください。地域の防除指針やJAの防除暦を確認したうえで、迷う場合は普及指導センターやJAの担当者に相談するのが確実です。

散布時の風速と気象条件

飛助シリーズの最大使用風速は8m/sですが、農薬散布については農林水産省の規定により風速3m/s以下での実施が求められます。冬季は季節風が強く、朝夕の凪の時間帯を狙う計画が欠かせません。また、麦作圃場は住宅地や道路に隣接するケースも多いため、事前の周辺確認とドリフト(飛散)対策は水稲以上に丁寧に行う必要があります。近隣への事前周知も忘れずに行ってください。

春の追肥と赤かび病防除

年明けの追肥は、麦の収量と品質を左右する重要な作業です。起生期・節間伸長期といったタイミングは数日単位で、しかも圃場はまだ湿っています。粒剤散布装置を使えば、圃場に入らずに適期を外さず施肥できます。粒剤散布の具体的な運用はオペレーション代行のページでも紹介しています。

4〜5月の赤かび病防除は、開花期という極めて短い適期に合わせる必要があります。降雨予報とにらみ合いながら、限られた晴れ間に一気に散布したい場面で、ドローンの機動力が生きます。飛助シリーズは1バッテリーで最大25分、薬剤搭載時で平均17分の飛行が可能で、液剤なら1haあたり8L程度が目安です。1日散布するならバッテリーは最低6本、余裕を見るなら8本を用意しておくと作業が途切れません。

自分で飛ばすか、代行に頼むか

麦作は面積あたりの単価が水稲より低い作目のため、機体を購入するか代行を使うかの判断はシビアです。目安として、以下の観点で切り分けます。

選択肢 向いているケース 主なコスト(目安)
機体購入 水稲・大豆と組み合わせて年間の稼働日数を確保できる/散布適期に自分の判断で動きたい 飛助10 アドバンス 税別998,000円〜(目安)+バッテリー・研修費・年次点検
散布代行 年1〜2回の防除だけ/人手が足りない年だけ頼みたい/まず効果を確かめたい 農薬散布 約10,000円/回〜(4,000㎡まで、以降1,000㎡ごとに+2,000円。飛行許可申請費用込み・目安)
レンタル 操縦者が確保でき、繁忙期だけ機体を増やしたい 機種・期間により変動。公式LINEでご確認ください

いずれの金額も目安であり、圃場の形状・障害物の有無・移動距離・作業時期などの現場条件によって変動します。麦作は一枚あたりの面積が大きい地域もあれば、飛び地が多い地域もあり、条件差が価格差に直結します。正確なお見積りは圃場情報をお知らせいただいたうえでご案内しますので、公式LINEからお気軽にお声がけください。

また、自分で飛ばす場合の機体選びや整備体制についてはドローン販売・整備のページで詳しくご紹介しています。マゼックス製の機体には1年目無料のドローン保険(対人対物1億円)が付帯します(購入後にメーカーへの申請が必要です)。

忘れてはいけない法令・整備の話

飛行禁止エリアの拡大に注意

2026年7月14日から、ドローンの飛行禁止エリアが拡大されています。これまで問題なく飛ばしていた圃場でも条件が変わっている可能性があるため、飛行計画を立てる際は必ず最新の飛行禁止区域を確認してください。麦作圃場は平野部の幹線道路沿いや市街地の縁辺に位置することも多く、確認を省略するのは危険です。

農薬散布は申請が必要な飛行

ドローンの操縦そのものに免許は原則不要ですが、農薬などの物件投下、目視外飛行、人・物件から30m未満の飛行といった特殊な飛行は、国土交通省への許可・承認申請や技能証明が必要になる場合があります。散布代行を依頼する場合、当社の料金目安には飛行許可申請費用が含まれています。自身で飛ばす場合は、申請代行のご相談も承っています。

年次点検はオフシーズンに

機体の年次点検(年1回)は、国土交通省への飛行許可・承認申請やメーカー保証の前提条件となる重要な整備です。現行機の点検費は8万円程度(税別・目安)が一つの目安になります。麦作中心の経営なら、収穫後の6〜9月、あるいは播種と春作業の合間である12〜1月が予約しやすい時期です。バッテリーは耐用約2年・200サイクルが目安で、膨らみが見られたら使用を中止し、整備事業所へお持ちください。全国の受付拠点は拠点情報からご確認いただけます。

国家資格は必要か

農薬散布に国家資格(技能証明)が必ず必要というわけではありませんが、資格を持つことで一部の申請手続きが簡略化され、対外的な信用にもつながります。とくに受託散布まで視野に入れるなら、取得しておく価値は大きいでしょう。

当社の国家資格対策コースの受講料の目安(税込)は、二等 初学者385,000円/二等 経験者125,000円、一等 初学者725,000円/一等 経験者425,000円です。いずれも目安であり、詳細はコース紹介をご覧ください。修了審査に合格すると指定試験機関の実地試験が免除されます。人材開発支援助成金の対象となる講習もありますが、条件は事業所ごとに異なるため、公式LINEで個別にご確認ください。麦作の作業が落ち着く冬から早春は、受講計画を立てやすい時期です。

よくある質問

Q. 麦の播種をドローンだけで完結できますか?

A. 散播自体は可能ですが、覆土や鎮圧、鳥害対策まで含めると、地上作業との組み合わせが現実的です。まずは条件の悪い一枚から試し、出芽率と収量を確認したうえで面積を広げることをおすすめします。

Q. 冬でもドローンは飛ばせますか?

A. 飛行自体は可能ですが、低温はバッテリー性能を低下させます。保管時は室内で温度管理し、使用直前まで冷やさない工夫が必要です。また冬季は季節風が強く、農薬散布に求められる風速3m/s以下の条件を満たす時間帯が限られます。作業日は余裕を持って計画してください。

Q. 水稲用に買ったドローンを麦作にも使えますか?

A. 液剤散布であればそのまま活用できます。種子や粒状肥料を散布したい場合は、粒剤散布装置付きのモデル(飛助15 プロ、飛助10 プロなど)が必要です。既存機への対応可否は機種によって異なるため、型式をお知らせのうえ公式LINEでご相談ください。

Q. 飛助DXや飛助miniを使っています。麦作で使い続けられますか?

A. 飛助DXシリーズ・飛助miniは新規販売を終了していますが、既存機のアフターサポートは継続しています。部品や整備のご相談は引き続きお受けします。買い替えを検討される場合の後継機は飛助10をご案内しています。

Q. 散布代行は何日前までに予約すべきですか?

A. 赤かび病防除のように適期が短い作業は、シーズン前に日程の目安をすり合わせておくと安心です。天候により前後するため、余裕を持ったご相談をおすすめします。空き状況は時期により変動しますので、公式LINEでお問い合わせください。

まとめ

  • 麦作でドローンが効くのは「圃場に入りたくない時期」と「適期が短い作業」。播種後の除草剤散布と春の追肥、赤かび病防除が中心
  • 種子・粒状肥料・粒剤を扱うなら粒剤散布装置付きモデル。飛助15 プロは税別1,450,000円、飛助10 プロは税別1,248,000円が目安(税別・目安、条件で変動)
  • 散布代行は約10,000円/回〜(4,000㎡まで、以降1,000㎡ごとに+2,000円、飛行許可申請費用込み・目安)。まず効果を確かめたい方に向く
  • 農薬散布は風速3m/s以下で実施。登録のある薬剤をラベルどおりに使い、地域の防除指針・JAの防除暦を必ず確認する
  • 2026年7月14日から飛行禁止エリアが拡大。飛行計画のたびに最新の区域を確認する
  • 年次点検は飛行許可・保険・メーカー保証の前提条件。麦作なら夏または真冬の閑散期に予約するのが得策
  • 初購入時はメーカー指定の機体研修が必須。秋発注・冬研修・春デビューの流れが麦作と相性が良い

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